bluegrasswise ブログ

日本列島とほぼ同じ緯度にあるアパラチア山脈、どことなくその人情も日本人に通じる 南部アパラチアの田舎から生まれたオーガニックでエコなアコースティック音楽(共鳴 /共生)、そして1960年代以降のヒッピー文化を含むカウンターカルチャーとの出会い で自由な個々人の感性を尊重する非マウス音楽として人知れず世代を越えて広まりつつあるブルーグラス(bluegrass)にかかわる(wise)ブログです。

ノーム・ピケルニー 特集 MOONSHINER/Autumn 2016

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宝塚フェスでの ノーム・ピケルニー

文:渡辺三郎

 

 8月6日、第45回記念 宝塚ブルーグラスフェスもたけなわの午後、ノーム・ピケルニーが東京からツアーマネージャーの役割を買って出てくれた井上ゆい子の案内で到着した。驚いたことに、フェスグラウンドに着いたそのときから、もう馴染んでいる。つまり、そこら辺の、フツーのフェスフリークの一員と化している……。

 なんてったって今、世界一のバンジョー奏者としての評価が定まりつつある、ニューヨークのブルックリンを本拠に世界を飛び回ろうとし始めているパンチブラザーズのキーメンバーであるノーム・ピケルニーだ。キラキラと輝いていても不思議はないはずだが、完全に馴染んでいるのだ。

 わたしが宝塚ブルーグラスフェスをやり始めた動機、45年前のアメリカでの体験などについて、本誌6月号「第45回記念 宝塚ブルーグラスフェスを迎えるにあたって」の記事で紹介した1971年6月18日の初フェス体験で述べたように、ビル・モンローがそこら辺をフツーに歩き回っていて、その内に「ジャムしようか?」って言った、そんなスターの壁もない、みんな平等なブルーグラス信奉者だけのパラダイス。ノームはそんな中にすんなりと馴染んでいる。

 しかしさすが、午後9時から用意された自分のセットでは世界一のバンジョー奏者としての実力をいかんなく発揮してくれた。宝塚フェスの趣旨とシステムを理解して、「ほかの出演者のみんなと一緒の10分でいいよ」と言ってくれたノーム、でもそれはない。友情出演として記念フェスの特別ゲストということで40分の時間を取らせてもらった。その目くるめくセットのリストだ。

■ Noam Pikelny at Takarazuka; Aug. 6, 2016

1). Prelude
2). Once I had an Old Banjo/Jim Thompson's Horse
3). Kenny Baker Plays Bill Monroe Medley:
Mississippi Waltz/ Ashland Breakdown/ Jerusalem Ridge
4). My Mother Thinks I'm A Lawyer
5). Wreck of the Old 97 (flatpickin' guitar)
6). Rag Doll/Pineywoods
7). new instrumental unnamed, maybe I'll call it "deep foggy!"
8). Rolling in My Sweet Babies Arms
9). For Pete's Sake 

 フェスグラウンドの林に吸い込まれていきそうな、5弦バンジョーとは信じられないような美しい響きではじまったノームのセット。ブルーグラススタンダードや驚くべきフラットピッキンギターでのトラッドソングなど、そして最後は誰もが知ってる“Rolling in My Sweet Baby's Arms ”でのすばらしいブルーグラスピッキンと歌……、なお、youtubeなどでの(Noam Pikelny Rolling in My Sweet Babies Arms banjo shred)でのヒドイ!!ジョークものとはまったく違う、とてもまじめなすばらしいワンマンブルーグラスだった。

 ちなみに、彼が今回の日本/オーストラリアのツアーで持ってきたのは、画期的なトーンリング=ヘリマウント構造で知られるネックビル社製のネクスター(Nextar)、「2002年から持っているもので、2フレット追加した特別仕様のものです。オーストラリアでは楽器を持っての飛行機の旅が困難なため、いつも使っているギブソングラナダは持ってきませんでした」とのこと。

 2006年9月、ちょうど10年前、パンチブラザーズの前身、ハゥ・トゥ・グロウ・バンドが始動した年にジョン・コーワン・バンドのメンバーとし宝塚フェスでのノーム・ピケルニーて初来日、そのツアーマネージャーを務めたときからそのバンジー馬鹿ぶりはとても強烈な印象として残っている。ホテルロビーでもプラットフォームでもどこでも、「5分ある?」と聞いてきて、「yes!」とでも答えようものなら早速バンジョーを取り出し、当時取り組んでいたクラシックのピアノ練習曲を弾きはじめる。「凄いね」というと、「ベラはもっと凄い」と真顔で言った。

f:id:bluegrasswise:20181011210926p:plain アール・スクラッグスが5弦バンジョーに革命的な奏法を編み出してから約15年後、ビル・キースによってスクラッグススタイルとはまったく異なるメロディック奏法を編み出した。スクラッグスがバンジョーの5弦を、アフリカ由来のポリリズムを生むドローン弦として見事にそのテクニックに組み込み、ブルーグラス特有のシンコペーションやドライブを産み出したのとは対照的に、キースのメロディック奏法は5弦をドローン弦としてではなく音階の一部として捉えたのだ。以来、メロディック奏者は5弦を音階の中に取り込むことに腐心、パット・クラウドらがメロディックでアドリブを操りはじめ、ベラ・フレックに至って完全な自由を得たように思える。

 今回のノーム・ピケルニーのソロを聴いていて、5弦バンジョーが完全に現代のフツーの楽器として機能していることを感じた方も多いのだろう。バンジョーに重要だとよく言われる右手ではなく、ノームにとって重要なのは2フレット多くセットされた24フレットのエクステンデッドフィンガーボードのすべてを把握する左手であり、スリーフィンガーがその地図を読み解いて、いかなるメロディをも瞬時にアドリブとして奏でることができるか、ということであろうかと感じた。わたしには、この10年間のノームの精進が、その物腰と声音とはうらはらな茶目っ気に隠されているように感じた。考えられないほどの努力の賜物が、これほどすんなりと宝塚フェスに馴染んでいることが、わたしには不思議な感動だった。

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One Man, One Banjo, One Joke...

 近年ノームは、パンチブラザーズ以外にさまざまなプロジェクトで大活躍だ。ルーク・ブラやブライアン・サットン、ジェシー・コッブやバリー・ベイルズらと1970年代ブルーグラスを再現してみたり、ステュアート・ダンカンやイーファ・オドノバンとのデュエットツアー、そして現在はマイケル・デイブズとブリタニー・ハースとのトリオなど。また今年2月から初のソロツアーをはじめた。しかしこの6月に、自身のホームページで「さまざまな圧力がかかり、わたしのマネージャーからは何度も、露出し過ぎは良くないと諫められ、減速することを余儀なくされました。ということで今年の夏、わたしのソロショウはサンディエゴとポートランドウィニペグタカラヅカだけとなってしまいました」と紹介している。

 しかしなぜ、ソロコンサートなのか? 今年2月、「Drive Thru With Rog 」というインタビューサイトでロジャー・レイノルズが行ったソロライブについてのインタビューから興味深い部分を紹介しておこう。(https://www.youtube.com/watch?v=kozLKVY9fSwより)

 「これまでずっとバンドやコラボレーションなどでやってきたけれど、初めて一人だけでツアーするんです。バンジョーはたくさん弾くし歌も歌いギターも弾きます。とにかく完全な自由を得たこと、そしてショーが終わった後、良かったときの評判を独り占めにできるのがいいですね(笑い)。もちろん悪かったときの責めもね。ただ、独りといってもサウンドマンがいるんです。パンチブラザーズ結成以来だから、もう10年もの間、すべてのショウのサウンドを創ってきたデビッド(デイブ)・シンコが一緒なんです。

 わたしにとってソロツアーは、これまでの何よりも重要に思えます。バンジョーという、皆さんが持つ音の大きなピュアな楽器というイメージだけでなく、メロウだし、サステインもあるということを音の実況として伝えたいんです。だからわたしの楽器の音自体が、これまでの何より大切なんです。デイブにはその大切なことが伝わるようにしてもらうのです。デイブの素晴らしい仕事を称賛する人たちに、よく彼は言うんです「ただ、音量を上げただけさ」って。彼の哲学はきわめて明確です。楽器が鳴る自然な音を取り込み、それをより大きくするというだけなんです。ある人は、それぞれの楽器の音質をシェイプアップしようと試みるようですが、彼はそんなことはしないんです」。(宝塚でデイブはいなかったが、オーディオテクニカのマイクATM35と、●●プリアンプをそのままラインにつないで実に自然な音を出していた)

 とても洗練されたジョークの名手としても知られるノームだが、世の中にこれほど多くのバンジョークがありながら、なぜノーム自身はほとんどバンジョーを笑いネタにしないのか? バンジョーという愛すべき楽器をおとしめたくないのか?というインタビュアーのするどい問いに、「確かにバンジョーは、アール・スクラッグス以前、カントリーショウ(田舎もんを表す)の小道具でした。しかしアールの登場以来、ビル・キースやベラ・フレックらによって芸術の域にまで高められ、今日では疑うべくもなく本物の音楽ができる楽器と人々に認められるようになりました。しかし同時に、わたしはジョークが大好きです。シリアスな面とは別に、その歴史やポップカルチャーとしてイジルのは好きです。いま最高に好きなのは、偉大なバンジョー奏者でわたしのヒーローでもあるアラン・マンデのもので、文脈は忘れましたが、世界一のバンジョー奏者と言われるご気分はと聞かれ、想像できますか?世界一のカズー奏者だって言われたときの気持ち!って……、最高の返事だと思いました」。

 オリジナルとカバーのバランスに、いつも心を配るのは、わたしのトラディショナル音楽への愛とバンジョーにおけるあたらしい好奇心とのミックスなのです。いつもステージではそのバランスを考えながら曲を選びます。また、わたしのあたらしい曲にアールとの直接の関係性を一聴して感じるのは無理かもしれませんが、アールの人生をトレースしていけば、アールのファンダメンタルと良いミュージシャンのそれは同じものであることに気付くでしょうし、おのずとアールが聴こえてくるでしょう。それはクラシックであろうとプログレッシブブルーグラスであろうと、どんな音楽にも共通することで、わたしはそれを証明しようと試みています。わたしの好きな音楽は、音的には完全にあたらしくて、しかもそこになぜ行き着いたかがわかるような音楽なんです」。

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ノーム、ショートインタビュー

 また今年2月末、シアトル郊外のベルビューで開かれたウィンターグラス(5月号と6月号で北大トリオのリポートあり)に参加した奈良のベーシスト、中川千尋さんがノームに短いインタビューをしているので、それも紹介しておこう。

Q1: メインバンジョーについて教えてください
 2013年にサウスカロライナで入手した1930年頃のグラナダ(オリジナル4弦)にフランク・ニートに作ってもらった5弦のネックを取り付けています。新しいネックはエクステンデッドフィンガーボード(24フレット)ではなく、通常の22フレットです。ブリッジはヒューバー社のもを使っています、いろいろ試して、このバンジョーにはこれに落ち着きました。(それまでの愛器ギブソンのトップテンションPB-7は手放したという)

Q2: セットアップはどうしていますか?
 セットアップはロビン・スミス、フランク・ニート、ロニー・べイン、ジョー・グレイザーらに見てもらっています。自分ではあまり触りません。ヘッドのチューニングですが限りなくGに近いG#です。弦の交換は、1週間に一回程度。

Q3: ピックのことについても教えてください。
 ピックはゴールデン・ゲートのサムピックとオールドのナショナル・フィンガーピックです。

Q4. バンジョーを弾き始めたのはいつ(何歳)からですか?そのきっかけは?
 弾きはじめたのは8歳から、兄がマンドリンを弾いていた影響です。初めはクローハンマー、そしてスクラッグススタイルを練習しました。バンジョーがわたしの最初の楽器です。

Q5.ブルーグラス以外の音楽は何が好きですか?
 ブルーグラス以外の音楽はあまり聞かないですが、強いて言えば、ペダルスチールのカントリー・スウィングが好き。ジャズ(ウエスタンスウィング)、クラシックピアノなども練習のために聞くことがあります。

Q6.「Noam Pikelny Plays Kenny Baker Plays
Bill Monroe」は大ヒットしましたが……
 ケニー・ベイカーのLPをそのままバンジョーで弾くアイデア、はじめはジョークからだったんですが、良いアイデアだと思うようになりました。録音にはとてもナーバスになりました。だって僕はバンジョー弾きですからね。

Q7.若いバンジョー弾きに何かアドバイスを。
 基本的にアール・スクラッグス、そしてJ.D.クロウの演奏を研究しよう!

 翌朝早くの飛行機でオーストラリアに向かわねばならないノーム、東京から来ていた若手バンジョー奏者の小寺拓実とひとしきりジャムをしたあと、満足そうにゆい子に言った、「さぁ、行くぞ」。ノームが会場を去った深夜、長年にわたり宝塚フェスに来ているベテランが言った、「ただのバンジョー好きなフェスフリークやったネ……」。

(...Arigato, Noam! 完)

弾いてみよう!
「Road To Columbus」
〜宝塚フェス バンジョーワークショップ続編〜

文、タブ譜/宮本 有

 

 ノーム・ピケルニー氏、宝塚フェス参加の話を聞き、恒例のワークショップにこの曲を選択した。なんとワークショップにも途中から参加してくれてタブ譜のチェックをしてくれた……というか、彼自身このレコーディングの時には完全なアドリブで、どう弾いていたのか正確には覚えていないようで、私のタブを「ああそうそう、こんなだったな〜」という感じで弾いてくれていた。そこで幾つかの点で彼はこう弾くこともあるが、「ボース・ウェイ・イズ・ライト(どちらも正しいと思う…)」的な話をしてくれた。今回、ワークショップで配布したタブに彼が教えてくれたポイントなどを加筆修正して紹介します。

 音の流れが同じでも次へ続く運指を考えてどこのポジションで弾くのがよりよいか考えながら、また人によって手馴れた指使いもあるだろうし、絶対にこれが正しいということはない。ただ必要とされる表情やスピードでは弾けないと多くが感じる運指は効率的でなく良くないものだろう。

f:id:bluegrasswise:20181011212844p:plain このタブの3ーBの部分は、このままだとフレットがないところの音を弾くことになるので、今回は参考とさせていただく。音はだいたいこれに近いのでは……と思うが、不明な部分がある。二段目1小節目の運指がこのままではよくないのだが、そこを彼に聞くことができなかったのが、非常に残念で悔やまれる。もしお分かりの方がおられたら教えて下さい。

 彼のバンジョーには通常より2つ多くフレットがついていた!今回バタバタの中だったので、彼のバンジョーを弾かせてもらうことはなかったが、ネックのヒールに近い太くなっていく部分はどうなっていたのか?何らかの工夫がないと2つ増えたフレットの音をきれいに弾くのはよほど押さえ方がしっかりしているか、手が大きいかでないときれいな音は出にくいと思われる。通常のニューギブソンだとこのタブの範囲でもなかなかクリアできれいな音は出しにくい。実際、彼のYouTubeでのプレイでは3ーBの位置のブレイクはほとんど1ーAのフレーズで弾いている。

 動画を見たついでにイントロからファースト・ブレークの入りがけの部分を併記したが、思ったよりも開放弦を使っていることが分かる。

f:id:bluegrasswise:20181011213513p:plain タブの最後4ページ目には、先ずワークショップ中で彼が弾いた練習のためのリックを載せた。彼が云うこの場合の指使いの基本がITM。Iは強く弾きにくいのでよく練習してね〜ということを言っていたような……。あくまで基本の指使いで、前のフレーズからのとか、次のフレーズへの続き具合とかによっては、これに限らない。

 ワークショップのタブの運指を掲載しています。ところによっては私自身この方が弾きやすいこともあり、ひょっとして人前で弾く時はこちらを使うことがあるかもしれません。

 

 

Road To Columbus Banjo tab1

Banjo tab1-A,1-B

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パンチ・ブラザーズ来日特集 MOONSHINER/Autumn 2016

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パンチ・ブラザーズ衝撃!!

 8月初頭の3日間、ブルーノート東京に連夜出演していたパンチ・ブラザーズの最終日、5日に出かけました。すでに多くの友人やリスナーから興奮した調子のメイルが届いていましたが、それにしてもステージに出てきた時の、マイルズ・ディヴィスがあの世から帰ってきたのかと思うようなすごい歓声にはびっくりしました。

 アクースティックなストリング・バンド、しかもかなり難しい音楽を展開しているグループなので、どんなライヴになるか予想できない部分もありましたが、全く心配ご無用でした。録音物とライヴは別の存在として意識している彼らは一本のマイクを囲みながら、絶妙な感覚でそれぞれのメンバーがマイクに近づいたり離れたりし、複雑な曲でも勢いと視覚的な要素で難なく伝えます。各メンバーの技術もずば抜けているし、終始クールな姿を一切崩さないノーム・ピケルニーとロック・スター並のジェスチャーを多く使うクリス・シーリのコントラストもまた面白い。

 演奏曲目は毎回かなり変えていたそうです。ぼくが見た回は最新作からの曲ももっと古い曲もありましたが、ダントツ会場が沸いたのはやはりトラディショナルなブルーグラスでした。本人たちは日本のファンの反応にびっくりして、非常に気を良くしていたし、すでに次の来日を楽しみにしている様子でした。

 因みに、ぼくはクリス、ノーム、ゲイブの3人にインタヴューをしましたが、その原稿は次号のEris(オンラインで無料で読めます)に掲載されます。発行は9月8日になる予定です。(http://erismedia.jp/

 

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f:id:bluegrasswise:20181011203110p:plain わたしのパンチブラザーズとの旅人生の中で、今回はとくに大好きな旅行になりました。食べ物は本当に素晴らしく、これまでの人生で食べた最高の寿司とラーメンを経験できました!すべてが、間違いなくグレートでした。われわれが会うことのできた誰もがとてもフレンドリーで、ファンから、ブルーノートのスタッフから、また東京で日中に探索したときに出会ったランダムな人々からの歓迎と思いやりを表してくれました。とても気に入り、そして来年も戻って来ることができればいいのですが! ―――クリス・エルドリッジ(Chris Eldridge)

 

 

 

 

 パンチブラザーズの東京公演が「えらいこと」になっているという。ジャズクラブの名門、ブルーノート東京で連続三日間6公演が大評判、ソールドアウトも連発した1500人にも及ぼうかという観客動員は、おそらく1968年のフラット&スクラッグスと1973年のビル・モンロー初来日以来の快挙ではないだろうか!? 矢野顕子がパンチの追っかけをカミングアウトしたからなのか?メディアやセレブたちが押し寄せたたことも大きいだろうが、本誌読者をはじめ、日本ブルーグラスの皆さんのサポートこそ、今回の来日とその大成功に限りなく大きかった功績だと思う。

 ブルーノート東京の公式ブログの初日リポートで、雑誌「ジャズ批評」の元編集長で音楽評論家の原田和典氏は、「曲が終わるたびに超満員の観客から猛烈な歓声と拍手がわき、ジョークを交えたMCでは笑いが起こり、最後はスタンディング・オヴェイションです。中心人物のクリス・シーリーが『なんてアメイジングなオーディエンスなんだ』と喜んでいましたが、これほど気合の入ったプレイをたっぷり聴かされたら、熱狂するしかないでしょう。(中略)ステージにはアンプひとつなく、マイクも1本だけ。そのマイクを囲むようにして5人が集まり、絶妙な弦の重なりを観客に届けます。各人がマスター級の技量を持ち、アンサンブルもアドリブもリズムも抜群」とそのブルーグラスの王道アンサンブルを称え、ビル・モンローからCSN&Yばりのコーラスハーモニーやアグレッシブなマンドリンチョップにジェイムズ・ブラウン・バンドのジミー・ノーレンのファンキーさを重ね、アパラチアントラッドとドビュッシー室内楽の共存に驚嘆している。そして、「年末あたりには、おそらく今年最高の洋楽系ギグのひとつとして語られるのではないでしょうか」と結んでいる。
http://www.bluenote.co.jp/jp/reports/2016/08/04/punch-brothers.htmlより)

 現在のクラシックをも含む米国音楽界で最高の才能の一人とされるクリス・シーリが率いる史上最高のストリングバンド、彼らがわれわれのブルーグラスコミュニティー育ちのミュージシャンであるということを誇りに思う。

 折から第45回記念 宝塚ブルーグラスフェスを主宰する身にとって、8月3日から5日というブルーノート東京のパンチ公演を観に行くことはできなかった。くやしい思いをしていると、友人でもあるノーム・ピケルニーが宝塚フェスに来たいという。契約の関係で事前告知はできなかったものの個人として参加、友情出演ですばらしいソロライブも聴かせてくれた。そんなノームからのメッセージです。 (渡辺三郎)

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ブルーノート東京と宝塚フェス

ノーム・ピケルニー(Noam Pikelny)

 わたしはまだ、日本で過ごした時間にドキドキしています。それは、わたしの人生におけるもっとも忘れ難い経験と冒険の一つとなりました。

 パンチのブルーノート滞在は多くの理由で特別なものとなりました。明らかなことは、われわれには日本での演奏経験がなく、さらに三日間をかけて一つの会場で6回のショウをするという前例もありませんでした。それに似たような経験はたった一度だけ、10年以上前にありました。まだ、パンチブラザーズという名前ができるずっと前、バンドが始動しはじめた頃、ステーションインでテンションマウンテンボーイズと名乗って、三夜連続のライブをやったことがあります。

 われわれの東京公演は、そんな初期のいい思い出を思い起こさせてくれました。われわれは出来るだけ異なったセットを組むように心がけました。そのことは、ここ何年も演奏することのなかった曲を引き出してくるという、思いがけない機会を与えてくれました。それは意図的ではなかったものの、われわれ初のレトロ(懐古的)演奏と呼ぶのににもっとも近いものでした。

 ブルーノート東京の観衆は素晴らしかった。われわれは1400以上という入場者数にも非常に驚きましたが、それ以上に重要な、観客の皆さんがとても暖かく受け入れてくれたことに、非常に感動しました。信じられないことに、遠くからやって来て、6回のすべてのショウを観た人たちもいました。この11年間、われわれのバンドは安定しながらますます成長し続けているので、時々、全体を観ることをせずに自分たちを見失うことがままあります。東京のステージ上から、一杯の観客席を見渡したとき、何人かの方がわれわれの曲に合わせて口を動かしているのが見えました。それはとても感動的で、われわれのバンドとしても大切なことを再確認させられました。

 われわれの東京公演が、偶然にも宝塚フェスの週末と重なることに初めて気付いたとき、わたしはチョッと残念に思いました。わたしは、毎年恒例のフェス計画のため、何人かの人がブルーノートに来れないのではないかと気づかいました。そしてわたし自身、ほんの数日のことでフェスを逃してしまうことに苦しみました。しかし、多くのブルーグラスファンが両方のイベントをともに楽しめることを、そしてわたしはオーストラリアに向かう直前にフェスに回り道できることをカレンダー上に発見したとき、とても安心しました。

 ブルーノートでの演奏が終わったあと毎夜、楽屋からホテルに向かうバンに歩いて行く合間、そこには何人かの人が、「宝塚で会いましょう!」と言うために、待っている人がいました。ほんと、信じられませんでした!

 わたしは今も、宝塚フェスへの思いを募らせていたことを認めなければなりません。車が山の中へ入って行くにしたがって、それが特別なものになることを確信しはじめました。わたしは、子供の頃にビーンブロッサムやフロンティアランチに向かっているときと同じ予感と興奮に包まれて行ったのです。もう10年以上も会っていなかったタローのタバコを買うために、山に上りはじめた所にある宝塚のセブンイレブンに立ち寄りました。わたしは駐車場からの景色を写真に収めなければなりません。わたしはゆい子に、「ここは全世界でもっとも美しいセブンイレブンの駐車場だ!」と叫ばずにはおれませんでした。

 フェスでは皆さん、とても親切にしてくれ、そこに居られることをとても誇りに感じました。わたしは、尋常じゃない数のバンドがそこにいること、またその才能のレベル、とくにバンジョー奏者のそれに大変感動させられました。また、そこには何人かの燃え盛るような若者がおり、そして彼らがいかに独創的なプレイヤーで新風を吹き込んでいるかを聴き取ることができました。彼らがある特定のスタイルに取りつかれているとは思えないものでした。

 わたしの唯一の後悔は、フェスで過ごす時間が短かったことでした。わたしは、たしかに6回連続の東京公演で疲れていましたし、翌朝早く、関西空港からオーストラリア行の飛行機に乗るため、夜遅くに会場を去らねばなりません。

 サブさんと一緒にバンジョーワークショップの会場に行くために階段を登るとき、わたしは通常のバンジョーのゲージやフィンガーピックなどについて話し合っているワークショップだとばかり思っていました。なんてことでしょう!それは大間違いでした。驚くなかれ、何ということか! 宮本 有さんはわたしの"Road to Columbus"をすべてタブ譜に写し取り、それを一音ずつクラスで教えているではありませんか! わたしはとても幸運なことに近年、(バンジョー奏者として)少しは認められていますが、宝塚の山の中で、部屋一杯のバンジョー奏者たちが"Road to Columbus"のわたしのソロに取り組んでいるのを目撃したこと、これにはとても感動しました。わたしはこれまで、これほどまでに光栄だと感じたことはありません。

 わたしは常に、ブルーグラスコミュニティの一員であることを誇りにしており、この旅行がさらにその思いをより深めて行くことを本当に証明してくれました。55人のバンジョー奏者とともに、ステージで"Foggy Mountain Breakdown"を弾いたのはとても楽しいものでした。後日、サブさんがそのイベント(バンジョー数珠繋ぎ=表2写真参照)には「Deep Foggy(濃ー霧)」と名付けられていたことを説明してくれ、ことの意義深さにさらに驚きました。なんて美しい伝統なんでしょう!わたしは心からもう一度その(Banjo Juzu)一員になりたいと願っています。
 わたしを歓迎してくれた皆さんに、心の底からの感謝を申し上げます。 (完)

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ノーム、鳩正宗と共演する

文/伊藤創平(最澄

 

 8月6日、宝塚ブルーグラスフェスの土曜日、鳩正宗のステージでノーム・ピケルニーと共演させていただきました。これまでノームと交流があったわけでもないわたしたち、鳩正宗が共演するに至った、その発端は大学の先輩・小野泰平さんからの「ええこと思いついたんやけど……」という提案でした。

 小野さん曰く、鳩正宗が持ち曲にしているザ・バンドのカバー“Ophelia ” をノームと一緒にステージで弾いたらどうか。ノーム本人が良ければとサブさんの許可はすでにもらっているとのこと鳩正宗と、左から小林繁之(bj)、伊藤創平(md)、岸部功太郎(gt)、ノーム、小野健児(fd)、小野悠子(bs)なのです。確かにノームがパンチブラザーズで“Ophelia ” を演奏しているのは知っていました。ザ・バンドの原曲の雰囲気をブルーグラス楽器で見事に再現していました。一方わたしたちは、ギブソンブラザーズによってブルーグラスアレンジされたバージョンを参考にして演奏していました。当然一緒に演奏できたら嬉しいけれども、バージョンも違うし、そもそもいきなりお願いしてやってもらえるのだろうかと思っていました。

 しばらくすると、小野さんがいつの間にかノームからの承諾ももらっていてくれていました。「“Ophelia ” を一緒にステージでやって欲しい。ギブソンブラザーズのバージョンだけど……。とお願いしたらOKだったよ」、とのことでした。そんな経緯で共演できることになったのです。その後、わたしたちからも改めて直接ノームに共演のお願いと感謝を伝え、バンド練習をしたいとお願いしたところ、快く応じてくれました。

 間近で見るノームのバンジョーにまず感動しました。ハイポジションを多用した独特のスタイルに、バンジョーとは思えないほど軽やかで美しい音でした。最初は全体のバランスを見てか控えめなバックアップでしたが、鳩正宗フィドルの小野健児さんが、「みんな見たいだろうから、もっと弾いて!」とお願いしました。2回の練習を終えて、本番を迎えました。

 わたしたちが3回聴いたノームの演奏は、それぞれどれも素晴らしかったのですが、やはり本番のソロは一層聴きごたえがあって、構成も綺麗にまとめられていました。わずかな時間でアイデアを磨き上げて、本番で一番の演奏をする、第一線で活躍するプロの力を垣間見ました。ノームは歌っているわたしや、ソロを弾く人の方をじっと見ながら演奏していました。あっという間でしたが夢のような時間でした。

 2016年、パンチブラザーズの来日は、かつてのビル・モンローやサム・ブッシュ、デビッド・グリスマンの来日のように、日本のブルーグラスにおけるエポックメーキングな出来事として語られるのだろうと思います。

今回、このような貴重な機会を作っていだたき、サブさん、小野泰平さん、そしてノーム・ピケルニーには改めて感謝申し上げます。どうもありがとうございました!
■鳩正宗メンバーコメント
小林繁
 アメリカに行った際は遠くから見ているだけだったノームと同じステージに上がれてとても感動しました。バンジョー2台でステージに上がったこともあって、私の拙いバッキングを注視しながらも合わせて弾くノームの姿が印象的でした。
●岸部功太郎
 まさか人生でノームと一緒に演奏する機会があるとは思いませんでした。ずっとYoutubeで見ていた憧れの人だったので、とても嬉しいです。このような機会を作っていただき、ありがとうございました!
●小野健児
ノームはとても上手でした。また一緒に演奏したいです(^^)
●小野悠子
 演奏中のノームの真剣な眼差しが印象的でした!!いっしょにバン練もできて感激でした☆☆
バンド名は難しくて覚えてもらえませんでした……。英語名にしとけばよかった!

■鳩正宗プロファイル
神戸大学ブルーグラスサークルで2009年頃結成、メンバー交替を経て現在まで神戸を中心に全国のブルーグラスフェスなどで活動しているブルーグラスバンド。毎月第三土曜日の20:30から、神戸三宮ホンキートンクでライブ中。ノーム承認の“Ophelia ” youtubeは「Hato with Noam Pikelny」で検索。
https://www.facebook.com/hatomasamune/


Hato with Noam Pikelny 鳩正宗

秋の夜長のマウンテン ミュージック@鎌倉ゴーティ

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(イラストは、キッチンシスターズのオダギリ ミホ)

10.14, 鎌倉フィドルバンジョー

ヨーロッパからのフィドルとアフリカからのバンジョーが19世紀はじめ、南部アパラチアの山奥で出会ってアメリカン ポップが生まれました。

フィドルバンジョーを軸にした音楽はそれからほぼ200年、ブルーグラスとともに現在まで人知れず世界中で受け継がれています。

ゆるーくて暖かい、宝塚と鎌倉の(ほぼ)ファミリーミュージックです。

 

●10月14日(日曜)18時開場・19時開演、前2,000円
●出演:Baker's Dozen(サブさん+由利ちゃん)
    Ys(ゆい子/優子/由利子)
●場所:「Cafe Goatee」(http://www.cafegoatee.com/
  鎌倉市小町 2-10-7 ストロールビル3F
  (JR鎌倉駅より小町通りを3分、東洋食肉店右折)
●予約:メールのみの受付です(info@cafegoatee.com)。
 件名を「10/14 ベイカーズ ダズンとYsライヴ予約」として、
 お名前、人数、電話番号をお知らせください。
 ※開場時間より先着順入場
 ※予約で定員に達した場合は当日券の販売はありません
●お問い合せ:090-2556-9637(おおこそ)

 

なお同10月14日、山梨県北杜市清里での「ポール・ラッシュ祭」には、稲葉和裕&ブルーグラスバディーズとブルーグラス☆ポリスとともに、サブさんは「井上(渡辺)三郎トークショウ」(午前11時~)に出演予定です。

www.seisenryo.jp

 

Stuart Duncan & Noam Pikelny 来日! その3

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 ブルーグラスな皆さま、今夏、全国的な災害、そして猛暑、被害に会われた方、お見
舞い申し上げます。

 さて現在、世界最高峰のフィドルバンジョー奏者、ふたりの来日のお知らせです。

 

bluegrasswise.hatenablog.com

 

 ムーンシャイナー誌9月号でも特集しましたように、10月21日から、東京(21日)、札幌(22)、大阪(23)、名古屋(24)の4都市を4日間で巡るという強行ツアーのお知らせです(わたしもすべてに参加します)。大阪のご予約、お問い合わせはこのメールに返信ください。それ以外は、それぞれ添付チラシの各地へ……!!くれぐれもよろしくお願いします。
 「フィドルバンジョー」デュオで日本の若者ブルーグラッサーがいる地方にと、ステュアートは「女性ジャズボーカルの女王」と呼ばれるダイアナ・クラールのワールドツアーを抜け出し、一方のノームは今夏発表のパンチブラザーズ最新作『All Ashore』のサポートで全米コンサートツアーを終え、そして11月7日から2週間のヨーロッパツアーの合間を縫って、前後を含めてたったの6日間だけの日本滞在です。


Noam Pikelny and Stuart Duncan - "Tallahassee" Rehearsal

 ステュアート・ダンカン(54)は、1980年代後半以降のブルーグラス界最高のフィドラーとしてあらゆる名演/名盤に名を刻み、ジョージ・ストレイトやアラン・ジャクソンをはじめとするメジャーカントリー、さらには現在ツアー中のダイアナ・クラール(夫はエルビス・コステロ)とのジャズ、そしてクラシックの世界的チェリストヨーヨー・マとの『Goat Rodeo Sessions』では4度のグラミー受賞するなど(驚くべきことにステュアート、「楽譜は読めなかった!」というブルーグラス信奉者!!)、「フィドル」を別次元に引き上げたアメリカンフィドルの最高峰!

 一方、伝統的ブルーグラス5人編成のパンチブラザーズのメンバーとして最先端のまったく新しいアメリカンポップを提示するベラ・フレック以降のバンジョー最高峰、ノーム・ピケルニー(37)は、2006年のジョン・カウワン・バンドと2016年のパンチブラザーズにつづく3度目の来日。矢野顕子が追っかけをするというパンチの「ブルーノート東京」で連続三日間6公演が大評判、日本音楽界に衝撃を与え、「年末あたりには、おそらく今年最高の洋楽系ギグのひとつとして語られるのではないでしょうか」(ブルーノート東京より)と評された。そののちノームは単身、第45回宝塚ブルーグラスフェスに参加、多くの人と交流しブルーグラス小僧ぶりを発揮している。

 「フィドルバンジョー」というユニークな究極アンサンブルをぜひやりたい! 聴かせたい!という、その意気込みでの来日です。そのブルーグラス愛を皆さんにも感じていただきたい。きっとすごい音が聴けます!

t.livepocket.jp

ノーム・ピケルニー & ステュアート・ダンカン 来日ツアー その2

ノーム・ピケルニー & ステュアート・ダンカン 来日ツアー

10/23(火)大阪 梅田・umeda TRAD

 ノーム・ピケルニー & ステュアート・ダンカン 大阪公演の前売りが始まったようです。詳細およびチケットに関しては下記に問い合わせをお願いします。

また、ツアーの追加情報は随時分かり次第更新していく予定でいます。

 

10/23(火)
大阪 梅田・umeda TRAD http://umeda-trad.com/
(会場問)06-7897-2454、info@umeda-trad.com
開場:18:00 開演:19:00
前売 4,500円 当日 5,000円
(学生前売り 3,500円 当4,000円)
(要別途1ドリンク¥500-)
(問合せ)fiddleandbanjo@nifty.com 
080-3819-8818(井上)

 

 

bluegrasswise.hatenablog.com

 

ノーム・ピケルニー & ステュアート・ダンカン 来日ツアー

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Noam Pikelny & Stuart Duncan 10月21日〜10月24日

アメリカンルーツミュージック楽器奏法の基本
フィドルバンジョー」世界最高峰初来日!

 聞いているといつも感動してしまうほど巧いミュージシャンはやはり好きです。
これまでの「Live Magic」ではジェリー・ダグラスやサニー・ランドレスがその部類に入りますが、今年10月20〜21日、5回目になる「Live Magic 2018」への出演が叶ったノーム・ピケルニーとステュワート・ダンカンの二人の演奏は、期待が高まって今からわくわくしています。
皆さん、後悔がないように、ぜひ来てください!

 

 19世紀はじめ、ヨーロッパ生れのバイオリン(フィドル)のメロディーとアフリカ生まれのバンジョーが持つリズムがアメリカ南部で出会ってアメリカンポップが生まれた。
 ピーター・バラカンが自身の「Live Magic 2018」への出演を切望して実現した超絶技巧のアコースティックライブ。世界最高峰のバンジョー奏者とフィドル奏者、21世紀のアコースティックを変革するパンチブラザーズのノーム・ピケルニー(37)と、ヨーヨー・マとの『 GoatRodeo Sessions』ほか4度のグラミー受賞に輝くステュアート・ダンカン(54) がふたりで来日です。
 なお、ステュアートは「女性ジャズボーカルの女王」と呼ばれるダイアナ・クラールのワールドツアーを1週間欠席して、ノームはパンチ話題の最新作『ALL ASHORE』を発表したばかりの来日。
 ルーツミュージックをベースに19世紀から21世紀の現代に連なる珠玉の名曲を超絶アンサンブルで聴かせてくれます。地元の若手ブルーグラッサーらとのセッションでスタンダードブルーグラスも!
 クラシックやジャズをはじめ、あらゆるポップ音楽を包含するルーツミュージックの最高峰ユニット!奇跡の初来日ツアーです。

 

10/21(日)
東京・恵比寿ガーデンプレイス
https://gardenplace.jp/
20日から開催の「ピーター・バラカンのLive Magic 2018」に出演。
開場:12:00〜終演:20:00時
1日券 12,000円 2日通し券 21,000円

 

10/22(月)
北海道 札幌・ベッシーホール
http://bessiehall.jp/
開場:19:00 開演:19:30
前売 4,500円 当日 5,000円
(問合せ)安倍=080-6081-8390、
happy_trail0912@yahoo.co.jp

 

10/23(火)
大阪 梅田・umeda TRAD http://umeda-trad.com/
(会場問)06-7897-2454、info@umeda-trad.com
開場:18:00 開演:19:00
前売 4,500円 当日 5,000円
(学生前売り 3,500円 当4,000円)
(要別途1ドリンク¥500-)
(問合せ)fiddleandbanjo@nifty.com
080-3819-8818(井上)

 

10/24(水)
名古屋 今池・BLcafe(BOTTOMLINE内)
https://www.bottomline.co.jp/place/blcafe/
開場:18:00 開演:19:00
前売 4,500円 当日 5,000円
(学生前売り 3,500円 当4,000円)
主催:Mountain Time Festival (www.mountaintime.info
(問合せ)安川=0584-45-2176 naonoar1948@ezweb.ne.jp
協賛:(株)HOSCO

 

招聘:Tom's Cabin Production

 

Stuart Duncan & Noam Pikelny 来日決定!

https://bit.ly/2u2UR0a

Peter Barakan's LIVE MAGIC! 2018

 現在、まぎれなく世界最高のフィドルバンジョー奏者であるステュアート・ダンカン&ノーム・ピケルニーが来日します。
 2014年以来、正式にフィドルバンジョー ユニットとしてツアーを組むふたり、ステュアートは「ジャズボーカルの女王」と呼ばれるダイアナ・クラールエルビス・コステロの妻)と、またノームは「世界最高のストリングバンド」パンチブラザーズと、ふたりともに2016年の2月と7月に来日、今回2度目の来日となります。

 ブルーグラス70年+の歴史が生み出した最高の楽器奏者であるばかりではなく、ジャズやクラシック(ステュアートはヨーヨー・マとの共演でグラミー受賞)の世界でも高い評価を受けながらも心底ブルーグラス奏者であることの軸足を動かさない姿勢は、20世紀後半にマーク・オコナーやベラ・フレックらが挑戦してきた壁を超えたところにある、まったくあたらしいブルーグラス世代といえるでしょう。2016年の来日時にステュアートは池袋でワークショップ、ノームは単独で第45回記念宝塚ブルーグラスフェスに参加してくれました。そのときに接した多くの人は、ふたりの深いブルーグラス愛を感じられたことと思います。

 19世紀はじめに南部アパラチア山間部で、スコットランドやイギリスなどヨーロッパからもたらされた「フィドル」(バイオリン)によるダンス音楽とバラッド(物語り歌)の旋律が、西アフリカからの奴隷貿易でもたらされた「バンジョー」というコードとリズムを生み出す楽器と出会いました。バンジョーという楽器の特殊性ーーネックの途中から最上部に高音弦があるーーからシンコペートする「ブーンチック(Boom Chicka)」リズムを生み出し、それがアメリカンポップの源流となって行く……と、わたしは考えています。すなわち、フィドルバンジョーの出会いがアメリカンポップの源流であると……。

 そんなふたつの楽器が信じられないテクニックでウキウキ/ワクワク、じっとしてられないアンサンブルを聴かせてくれます。……関東地方の方、お見逃しなく!!

Peter Barakan's LIVE MAGIC! 2018
【開催日】
2018年 10月20日(土)/ 10月21日(日)
【開場/ 終演予定】
10月20日(土)開場 12:00 / 21:30 終演予定
10月21日(日)開場 12:00 / 20:00 終演予定
【会場】
恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンホール / ザ・ガーデンルーム

www.livemagic.jp

Stuart Duncan & Noam Pikelny Videos:


Stuart Duncan & Noam Pikelny - Wheel Hoss [Live at WAMU's Bluegrass Country]

 


Noam Pikelny and Stuart Duncan - "Tallahassee" Rehearsal


Noam Pikelny and Stuart Duncan - "Sad and Lonesome Day" Rehearsal