ジャズ・ベースの巨匠チャーリー・ヘイデンとJefferson Airplane&Hot Tunaのヨーマ・コウコネン その1
先日編集長と話をしていまして、ボブ・ディランがビル・モンローに影響を受けていたこと、ラルフ・スタンレーの”Clinch Mountain Country”に参加し、このアルバムが99年のグラミーにベスト・ブルーグラス・アルバムでノミネートされたことで、ディランファンにもそのことが認知はされていますが、その辺のことをブルーグラスサイドから、関係も含めきちんと日本語の文章として情報がのこされていないので、追々このブルーグラスワイズで情報を整理いたしね、と言う話になりました。
ではこの話と本日のタイトルとどんな関係があるかと、いうことになりますね。
ご存じの方も多いと思いますが、チャーリー・ヘイデンとヨーマ・コウコネン、それぞれ幼少期と言うか少年時代、ブルーグラスやカントリー音楽が身近にある環境でした。
その辺の影響が多大で、ヨーマ・コウコネンの方はジェリー・ガルシアと仲良くなったり、チャーリー・ヘイデンは”Family & Friends: Rambling Boy”を作ったようですね。
この辺の情報が2002年のムーンシャイナーにアルバム紹介記事として掲載されていましたので一部転載いたします。
また、2002年は奇しくも”サム・ブッシュ・バンド”、”ヤンダー・マウンテン・ストリング・バンド”、”ジョン・コーワン・バンド”、そして”デビッド・グリマス・クインテット”が”Jamgrass Tour”として全米ツアーを行なった年でもあります。
下記サイトでこのアルバムのメイキングが公開されています。
CHARLIE HADEN『Family & Friends: Rambling Boy』 Single Girl,Married Girl/20-20 Vision/Wildwood Flower/Ocean of Diamonds/Voice from on High/Sally Garden/Tramp on the Street/Shenandoah 他全19曲
1曲目のカーター・ファミリー・ギターとマンドリン・チョップを聴いただけで幸せになるブルーグラス/オールドタイム・リスナー冥利、…が、これがジャズ・ベース巨匠のチャーリー・ヘイデンのアルバムなのだから驚く(ちなみにギターはブライアン・サットン、マンドはサム・ブッシュ)。
以降、ビンス・ギル、ブルース・ホーンズビーのアドリヴに満ちたジミー・マーティンで知られる"20/20 Vision"、ロザンヌ・キャッシュとパット・メセニーの"Wildwood Flower"、エルビス・コステロとのハンク・ウィリアムズ"You Win Again"、その他、モンローのきびしいゴスペルからブッシュ/ダグラス/フレック/サットンらの弾きまくり"Old Joe Clark"まで。
実はチャーリー・ヘイデンの息子や娘達、妻までもフィーチャーしているのだが、そのどれもが見事。
1937年、中西部生まれのチャーリーが2歳から家族のラジオショウに出演、マザー・メイベル・カーターが自宅の居間で歌っていることを覚えているという経歴、その後チャーリー・パーカーを聴いてジャズを志してからもグラディ・マーティンやハンク・ガーランドとのセッションで学資を稼いだという経歴が語るとおり、まさに、めちゃくちゃお値打ちの戦後世代の「アメリカ音楽のルーツ旅行」。
この企画を考えたリッキー・スキャッグス・バンドのベーシスト、マーク・フェインに脱帽、見事なブルーグラス作品!!である。