IBMAアワード 2015
あっという間に2週間、鎌倉・ナッシュビルのイベントも無事、好天に恵まれて済み、いよいよ今週はIBMA(国際ブルーグラス音楽協会)のお祭り、WOB(ワールドオブブルーグラス)週間が始まります。
最大のイベントは第26回IBMAアワードショウです。10月1日(日本時間10月2日午前8時半から)に催され、例年と同様なら、IBMA公式サイトから、2時間前のレッドカーペットインタビューを含め実況動画配信される予定です。詳細が発表されればお知らせします。
ムーンシャイナー誌9月号6頁から、今年のアワード最優秀候補、各部門の最終ノミニーズです。
p.s. 今週末の10月3日、ピーター・バラカン氏がDJを務めるNHK-FM「ウィークエンドサンシャイン」(毎週土曜 午前7時20分~9時)で、「アパラチアン ボイス」の特集があります。おしゃべりが苦手な私がゲストで、「サラサライーファ来日」を意識して、アパラチアのボーカルに焦点を当て、その歴史をたどる予定です。皆さんのリクエストもお願いッ!! ただし、収録は水曜日の午前中ですので。
ブルーグラスの誕生から70年、 part one: 1945年、ブルーグラス誕生
part one: 1945年、ブルーグラス誕生
モンロー・ブラザーズ(1929-1938)
28歳になったビル・モンローは1939年、兄チャーリー(8人兄弟の末っ子ビル、すぐ上の兄だが8歳違い。家庭での立場が想像できる)とのブラザーデュオ、モンローブラザーズを前年に解散、自身のバンドを作るときに、故郷であるケンタッキー州のニックネームからブルー・グラス・ボーイズと名付けた。バンドは1920年代から数多く出現したストリングバンド(米南部で発展した弦楽器、とくにフィドルとバンジョーを中心にしたバンド)の中でも、強烈なスピードのインストや強いビートのジャンプブルースなどで一線を画した。5弦バンジョーの革命的奏法でブルーグラススタイルの形成に最も大きく寄与したアール・スクラッグス加入以前の“Rocky Road Blues”はロカビリーの祖ビル・ヘイリーの“Rock Around the Clock”のグルーヴとよく似ており、ロカビリーの起源とも言われる。
オリジナルブルーグラスバンド(1945-1948)と呼ばれるビル・モンローのブルーグラスボーイズ(1939-1996)
1945年12月8日、そんなビル・モンローのブルーグラスボーイズ(レスター・フラットgt、チャビー・ワイズfd、ハワード・ワッツbs)にアール・スクラッグス(bj)が参加したことで、まったくあたらしいストリングバンド音楽、ブルーグラスが誕生した。それは、スクラッグスのスリーフィンガー奏法によってもたらされるドライブと、ポリリズム(アフリカからもたらされた複合リズム)に内包されるシンコペーションへの、バンド一丸となった対応によって誕生したものであると本誌は考えている。1946年と47年の秋に、コロンビアレコードに全28曲の録音(唯一のまぎれもない真正ブルーグラス)を残したこのバンドを、オリジナル・ブルーグラス・バンドと呼んでいる。
1948年春、レスター・フラット、アール・スクラッグス、ハワード・ワッツにフィドラーのジム・シューメイトを加えたフラット&スクラッグスのフォギーマウンテンボーイズ(1948-1969)
1948年にレスター・フラットとアール・スクラッグス、そしてハワード・ワッツ(のちにハンク・ウィリアムズなどで活躍)の3人は、ほぼ同時にビル・モンローのもとを離れ、フォギーマウンテンボーイズを結成、のちにフラット&スクラッグスとして親しまれるこのバンドが1969年の解散まで、全米および世界にブルーグラスを広める中心になっていく。
ブルーグラスは1940年代までは南部白人の田舎音楽として、音楽を売るための便宜的な色分け(ジャンル)として「ヒルビリー」という蔑称で一括りにされていた。しかし音楽がエンターテイメント産業として大きく発展しはじめた1950年代になって、ストリングバンドがジャズと出会って1930年前後に生まれたウエスタンスウィングから発展してスティールギターやエレキギターなどを使った、いわゆるホンキートンク音楽が主流となり、それらが「カントリー&ウエスタン」と呼ばれはじめたのと区別するためにラジオのDJたちが、マンドリンやバンジョーを使ったアコースティック音楽を「ブルーグラス」と呼び始めた。それが「ブルーグラス」という音楽スタイルを指す言葉のはじまりである。しかしなお現在まで、ヒルビリーを基にしたオールドタイム音楽やブルーグラス音楽は、そのはなはだしい音楽スタイルの違いがあっても、その歴史的経過から広義のカントリー音楽に分類されている。
『Sing Out』誌2014年春号。アール・スクラッグスとともに20世紀後半のバンジョーの復活に大きな貢献をし、同年に亡くなったピート・シーガー、そのバンジョーヘッドには、「This Machine Surrounds Hate(この楽器は憎しみを包囲する)」とある。
なお、ビル・モンローが「ブルーグラスの父」と呼ばれるのはフォークブームのただ中、1963年にラルフ・リンズラーがモンローのマネージャーとなり、フォーク雑誌『Sing Out』で初めて紹介してからだ。(つづく)
ムーンシャイナー2015年4月号より
今日、9月13日はビル・モンロー104歳の誕生日だ。
今日、9月13日はビル・モンロー104歳の誕生日だ。世界中に「ブルーグラス」という音楽コミュニティが生まれたのは、104年前の今日だった……と言えなくないか?
1996年、9月9日に亡くなって以来、生前のビル・モンローに関するいろいろなことがより詳しく明らかになっている。それでもまだまだ知らなかったこと、また気付くことが多々ある。最近知ったモンロー事跡のひとつに、学校は11歳、つまり小学5年製までしか行かなかった、というのがある。ことしも5月に訪れたケンタッキー州ロジーンのビル・モンロー生家、ペン叔父さんのキャビンやロジーン駅前の住宅に比べてもきちんとした造作から、それほど貧しくはなかったと思っていたのだが、どーだろう?
もちろん当時、それがフツーだったのかもしれない。伝説のオリジナル・ブルーグラスバンドでは高校を出たのはアール・スクラッグスだけ、そのためにブルーグラスボーイズの経理を任されたという逸話もあるほどだから……。それとも、極度の斜視でシャイだったというビル少年、兄からと同様、学校でもいじめが原因でドロップオフしたのかもしれない……。
そんな想像をめぐらせた今日、1日だった。……じつはムーンシャイナー10月号の締め切りで、そんなこと考えている余裕はないのだ、ぞ!!!
ということで、ビル・モンロー生誕14周年記念、ムーンシャイナーの4月号から8月号まで5回にわたり連載した「ブルーグラス誕生から70年」特集の一部分を何度かに分けて、加筆紹介しようと思う。もちろん、ムーンシャイナー年間契約を勧誘しつつ……!!?
I'm With Her Live Magic 2015 サラ・サラ・イーファ
本日は"サラ・サラ・イーファ"のお知らせです。
今年のピーター・バラカンさんの”Live Magic!”に”I'm With Her”トリオの”サラ・ワトキンス”、”サラ・ジャローズ”そして”イーファ・オドノバン”が来日します。
彼女達のプロフィールが”Live Magic!”のサイトにアップされています。
また、下記の単独公演が決まっています。
Peter Barakan’s Live Magic! EXTRA〔大阪〕
梅田クラブクアトロ
2015/10/26(月)
I’m With Her
ブルーノート東京
2015/10/28(水)
金沢(9.15)←→東京(9.17)で、ブルーグラスとアイリッシュの超絶バトル! TARO & JORDAN 秋 2015
イベント告知です。
Twitterでもいろいろ流れています”TARO & JORDAN” 今月開催のご案内。
北陸新幹線開業記念興行!?
金沢(9.15)↔東京(9.17)で、ブルーグラスとアイリッシュの超絶バトル!
TARO & JORDAN 秋 2015
<ピーター・バラカン>
アメリカのルーツ・ミュージックも世代交代をしています。
これまでの伝統的な部分をしっかりとマスターした上で今の感覚を取り入れた若いプレイヤーが次々と頭角を現しています。
そんな中で、ブルーグラスを出発点にマンドリン奏者として引っ張りだこになりつつある井上太郎と、パンクに近い勢いを持ったアイリッシュ系のギタリスト、ジョーダン・マコネルのデュオはあっという間にどんどん力をつけてきて、実に息の合った刺激的な演奏をしています。
<いとうせいこう>
このめくるめく弦の嵐!
<チチ松村(ゴンチチ)>
マンドリンとギターだけで、このグルーヴと高揚感を醸し出すとは恐れ入った。
アクースティックミュージックの究極の形に、身も心もスカッとする。
二人の若きツボ師に乾杯!
9月20日 鎌倉 アパラチアン・ルーツ・ミュージックへのご招待
昨日19日のイベントの内容をアップしましたので、本日は9月20日のご紹介です。
アパラチアン・ルーツ・ミュージックへのご招待
9月20日(日) 鎌倉生涯学習センター・ホール
主催:鎌倉・ナッシュヴィル有効協会
後援:鎌倉市
協賛:鹿島建設株式会社
【プログラム】
10:00〜12:00 ギター・ワークショップ
「アメリカン・ミュージックのレクチャー・ワークショップ」
講師・渡辺三郎
(ブルーグラス専門誌「Moonshiner」編集長)
昔弾いていたけれども家で眠っているギターをもう一度やり直してみたい方、もちろん初心者の方も。楽器をお持ちの方は持参してください。会場でも用意はあります。
以前楽器をやっていたけれど久しくご無沙汰している方、家で眠っている楽器(ギターやバイオリンほか)をお持ち下さって、もう一度やり直してみませんか?
また同時に、ロックやポップを目指す学生や若者たちに、アメリカンルーツやブルースの歴史を踏まえた基本やコツ、そしてさらに上級を目指すためのノウハウを伝授、そしてみんなで世代やジャンルを超えたジャム(即興合奏!)をしよう、というプランです。
初心者から上級者までが納得の実践的なコツやツボが一杯です。
以下のメールアドレスにて事前申し込みをお願いします。
workshop(a)kamakura-nashville.com (a)を@に変更して下さい。
(2F音楽室)
12:00〜13:00 講演 「ナッシュヴィルとはどういう町か」
講師・松田武久(ブロードキャスター・カントリー研究家)
写真や映像を交えて、ナッシュヴィルの町を紹介します。
(4F・第6会議室)
13:00〜15:00 ブルーグラス・コンサート
大学ブルーグラス界のトップランナー東北大学 「Shake Sepia」、
そして「Nashville Freeway」による、
若々しいブルーグラスをお楽しみください。
(2F・音楽室)
15:30〜17:30 映画「Song Catcher」上映とレクチャー
講師・東理夫(作家)
アメリカン・ミュージック揺籃の地となった「アパラチア」とは
どういうところか。東理夫の解説と、
映画「Song Catcher〜歌追い人」でご案内します。
(4F・第6集会室)
17:30〜18:30 トミ藤山・歌とお話 「これまでの私の音楽と生き方」
本場アメリカでも実力を認められ、
最近その半生が「Made in Japan」というタイトルで映画化された、
女性カントリー・シンガー・トミ藤山が、
歌とトークでこれまでの歩みを語ります。
(4F・第6集会室)
以上の催しは入場無料です。
________________________________
19:30〜21:30 コンサート「アパラチアン・ルーツ・ミュージックへのご招待」
(きららホール・開場 19:00)
●入場料3000円
第一部 「アイルランドからアメリカ大陸へ」 解説:渡辺三郎
アメリカン・ミュージックの誕生。アイリッシュからブルーグラス、
そしてモダンまで。
出演
アイリッシュ: ジョン、トシバウロン、ジョーダン マコンネル、原さとし
ブルーグラス: 渡辺三郎、岸本一遥、原さとし、井上太郎、近藤
アメリカーナ: TARO&JORDAN
第二部 「ペリーの黒船が日本の音楽を変えた」
ペリーの黒船に乗っていたミンストレル・ショーで演奏された
「ヤンキー・ドゥードル」やフォスターの曲など、
日本人が始めた聞いたアメリカン・ミュージックを、
当時のまま再現します。
解説:原さとし
出演: 原さとし、青木研、ジミー赤沢ほか
第三部 「日本に花咲いたカントリー・ミュージック」
日本のカントリー・ミュージックの草分けトミ藤山、
そしてこれからのカントリーを歩む坂本愛江らの演奏。
出演: トミ藤山・坂本愛江、尾崎博志とROMz
事前予約は下記のアドレスにイベントナンバー「evNo.030920」、
希望枚数、お名前、電話番号等を必ず記入してお送りください。
event(a)kamakura-nashville.com (予約専用) (a)を@に変更して下さい。
主催:鎌倉・ナッシュヴィル友好協会
2015年9月19日 鎌倉・浄智寺で境内フェス「音縁日」のご案内
今月鎌倉市で行われるインベントのご案内です。
9月19日と20日の2日間に渡り開催されます。
まずは、19日の内容のです。
昨年9 月に鎌倉とナッシュヴィルがパートナーシティーになりました。
どちらも音楽を愛する街。
そのご縁を記念した催しです。
鎌倉に親しみ集う仲間たちの音楽と、歴史が刻まれた鎌倉の音楽。
そしてアパラチアの山々で生まれたルーツミュージックを愛する人の音楽。
マーケットやワークショップと共に家族で楽しめる音の縁日です。
日時:2015 年9月19日(土)
10:00-16:00 グリーンモーニング音縁日
17:00-19:30 御堂ライヴ(¥3,000)
交通アクセス:北鎌倉駅より徒歩10 分
※お車でのご来場はご遠慮ください。
【御堂ライヴ】
17:00-19:30 繋がる音楽charge ¥3,000
鎌倉の音楽家とルーツミュージック
恵温和尚のお話:「鎌倉音縁日」にちなんで「縁」のお話。
suemarr
ギターとバンジョーの引き語り。オリジナル曲と共に、古いアメリカの歌も歌い継ぐ。
坂麗水
薩摩琵琶奏者。琵琶は鎌倉にも縁が深く、パートナーシティーとなった記念にナッシュビルでも鎌倉を代表して演奏。
Angel’s Noyze
鎌倉在住の黒澤邦彦(タール、マンドーラほか)と、うらかわ ゆき(ヴォーカル)。
ケルトや地中海沿岸地域といった世界の文化の礎ともいうべき部分への憧憬がその音楽には色濃く反映される。
special guest! TARO&JORDAN
ブルーグラスのフラットマンドリン奏者井上太郎と、カナダのジュノ・アワード受賞やグラミー賞にもノミネートされたアイリッシュビートのギタリスト、ジョーダン・マコンネルによるアクースティックデュオ。
生音グルーヴがぶつかり合う高揚感とスリリングな演奏!
【グリーンモーニング音縁日】
※グリーン・モーニングは月に一度開催される音楽とマーケットの催し。
10:00-16:00 ※要・お寺拝観料
・グリーンモーニングライヴ:グリーンモーニングカマクラに集うミュージシャンのライヴ。
出演:サバサンド( ジャグバンド)、安部家(歌とマンドリンデュオ)、 村田食堂( 古き良き音楽)、タマシロマーケット(アイランド・フォーク)、 Red Ginger(ブルーグラス)、uppon( COBAKABA 店主/ ミュージシャ ン)、慶応大ブルーグラス研究会( ブルーグラス) など
・グリーンモーニングマーケット:地元を中心とした飲食いろいろ。
出店:テールベルト× カノムパン( パン・軽食)、Goatee( ドリンク、 焼き菓子等)、廣瀬スワン珈琲(コーヒー)、ヤマウシ小屋(お食事)、 菊地洋菓子店(焼き菓子等)、べつばらドーナツ、鎌倉薬膳アカデミー ( 薬膳食材)、COBAKABA( 軽食)、KAMAKURAX(Tシャツ等)、 耳日商店( 雑貨、食材)、山本餃子(軽食)、ONARIYA(お弁当) など
*恵温和尚のカレーもあるかも
・音を感じるワークショップ
*定員ありますので、ご予約ください。
10:00-Rica Yoga: ヨーガで体を動かしながら、アクースティック ミュージックを身体で感じよう。(マンドリン/ 井上太郎)
11:00- はなてるさんの音楽灯籠ワークショップ:音をイメージした 文字や模様を描いて、灯籠に。夕方から階段を照らします。
14:30- お寺でギターワークショップ:講師にジョーダンマコンネル を迎えて。初心者でも気軽にどうぞ。ギターの貸し出しあり(※要予約)
《問い合わせ》
ワークショップ、御堂ライヴ予約
info (a) rootsmusic.jpn.com (a)を@に変更してください。
(内容、人数、お名前、電話番号を送信してください)
主催:鎌倉ナッシュヴィル友好協会
後援:鎌倉市協賛:鹿島建設株式会社
協力:黒澤楽器店 Martin Guiter