「第3回 アールの日、ゲスト:宮本有」
「第3回 アールの日、ゲスト:宮本有」
日曜日の午後、軽くビールしながら、スリーフィンガーバンジョー(ポリリズム)を楽しみませんか?
初心者から上級者まで、バンジョー弾きと、「バンジョー弾きって何考えてんねん……!?」と思っている人たちのための楽しいミーティングにしたいと思います。
是非お気軽にご参加ください。
●3月20日(日)14時~17時。
●兵庫県西宮市・JR甲子園口駅前・ダートマスクラブ(0798-66-4911)。
https://www.facebook.com/dartmouthclub/
●大人¥2000- 学生¥1000-(1drink付き)
●プログラム
- 14:00~14:15
Greetings and Opening Jam - 14:15~15:00
いかにメロディを五弦表現するか? 季節柄、思いついた「春が来た」。誰でも知ってるこの童謡の旋律をどう弾くか?……この曲を課題曲としますので当日、参加者のアレンジもぜひ披露してくださいね。さまざまなノウハウを楽しみましょう。 - 15:00~16:00
ゲストの宮本氏が今年のムーンシャイナー1月~2月で連載特集したアール宅を訪問したときのビデオを鑑賞し、アールの人柄に触れながら、その中で紹介される“Brown's Ferry Blues”など、ムーンシャイナー誌掲載のタブ譜も参考にアールの奏法を学んでいきます。 - 16:00~17:00
ブルーグラスというジャンルの音楽性の根幹を成すと考える五弦バンジョーのスリーフィンガー奏法(ポリリズムとシラブル!)とバンジョーという楽器に関するあらゆる質疑応答などを歓迎します。そして参加者のうち希望者による演奏やジャムで、三々五々解散。
(問)fiddleandbanjo (a) nifty.com(サブさん)
ステュアート・ダンカン 「フィドル ワークショップ」
ステュアート・ダンカン 「フィドル ワークショップ」
~ジャズボーカルの女王という言われるダイアナ・クラールのバックアップとして30年ぶりに来日する世界一のフィドラー、ステュアート・ダンカン(51)。
ヨーヨー・マらとの『Goat Rodeo Sessions』でグラミー受賞(2013年)をはじめ、ブルーグラスをベースにオールドタイムからブルース、ジャズ、ロックなどジャンルを超えた活躍をつづける世界最高のフィドラーによるバイオリンのワークショップです。
ステュアートによる
セットアップのアドバイス
ツールへの脳と指のシンクロ
メロディとバックアップのアプローチ法
インプロバイズ/タイミング/テイスト/トーンの分析
などをテーマに、その至芸とともにお楽しみください。
- 2月26日(金)18:00~
- フォルテ・オクターヴハウス
〒171-0022
東京都豊島区南池袋1-26-9 第2M.Y.T.ビル8階
03-3982-8711
池袋駅東口より徒歩1分、1~3階がユニクロのビル8階 - 参加費用:¥6,000-(定員あり)
- お問い合わせ:サリーアン fiddleandbanjo@nifty.com
0797-85-8384(渡辺三郎) - 協力:Jazz Violin Direction Japan
Bluegrass Journal“MoonShiner”
「シェイプノート歌唱法」その2
前回「東京セイクレッドハープ・ミーティング」についてご案内しました。
東京セイクレッドハープのサイトで「「セイクレッド・ハープの世界へようこそ」というタイトルで、詳しい解説のPDFが公開されています。
ご興味のある方は是非一読をおすすめします。
Shape Note Singing in Tokyo
「シェイプノート歌唱法」東京セイクレッドハープ・ミーティング
ブルーグラスアンサンブルの大きな魅力はその楽器とハーモニー。フィドルとバンジョーという、19世紀にアパラチアで始まったアンサンブル以前、同じアパラチアで流行したのが「シェイプノート」と呼ばれる歌唱法です。その影響はラルフ・スタンレーら、ブルーグラスハーモニーの南部バプティスト系のハーモニーに色濃く残っているとされます。
そんなシェイプノート歌唱法を楽しもうという月例ミーティングが来週19日に池袋で、また「みんなでアカペラ四部合唱を歌おう!」という世田谷区立青少年交流センター主催のワークショップが23日に世田谷で予定されている。
アメリカの民衆ハーモニーについては、ムーンシャイナー2012年6月号「ブルーグラス・ハーモニー前編~教会音楽とシェイプノート・シンギング」と、同7月号「アメリカン・ハーモニー後編~バーバーショップとブルーグラス」に詳しい。
ブルーグラスの誕生から70年、part three
ブルーグラスの誕生から70年、part three:
ブルーグラスはバンドサウンド②
(ムーンシャイナー2015年4月号より)
ブルーグラス成立でもう一点、現在の視点から重要なのは、ブルーグラス音楽の成立を1939年に置くか、1945年に置くか?という部分に曖昧さが残ることである。ブルーグラスを音楽的に解析すれば1945年、アール・スクラッグスのスリーフィンガーバンジョーの加入がブルーグラススタイル成立の絶対条件であると本誌は断定するのだが、「ブルーグラスの父」であるビル・モンローの言葉を借りれば1939年、アールのスリーフィンガーバンジョーの存在はなく、ジャグやアコーディオンさえも加えたストリングバンドの時代、ビル・モンローがブルーグラスボーイズというバンドを率いて活躍を始めた時点からをブルーグラスと呼ぶのだ。
それはすなわち、楽器編成や奏法にこだわることなく、「ブルーグラス」という言葉が、さまざまな南部白人系のアコースティック音楽全般を含むものと解釈することができるという結果を生む。この解釈が21世紀以降、あの映画『オーブラザー!』(2000年、コーエン兄弟監督)サントラ盤の大ヒットで、米メディアが一斉に「フォークリバイバルの再来」と報じたとき、そのアルバムに収められていたオールドタイムやブルースも含め、南部白人系のアコースティック音楽全般をメディアが「ブルーグラス」と呼び始めたという、千載一遇のチャンス(混乱ととらえる人もいるだろうが)が現在も続いている。
それは、確実にブルーグラスのマーケットを拡げている。コアなファンの楽しみ(まさに本誌が「それ」だが)を除いて、音楽ジャンルを規定して他を排除することには何の意味もない……、というより自傷行為にも等しいということは芸術において当然のことだ。いわんや日本においては、ジョン万次郎が持ち込んだフォスター以来、スコットランド系文部省唱歌など南部白人系アコースティック音楽をすべてブルーグラスの範疇に取り込むことさえ可能な歴史的経緯を持っていることを、「我田引水!」と言われようとも、ここで確認しておきたい。なんでもかんでも「ブルーグラッース!」。
【ジャンル名について】
ちなみに音楽ジャンル名は一般に、業界のパワーバランスによってメディアが使用するもので、音楽が産業化する前、南部白人系音楽についてはさまざまな呼称が使われていたようだがラジオ/レコード時代が始まった1920年代には「ヒルビリー」(1900年にニューヨークジャーナル紙で初出した、主にアパラチアの閉鎖社会の教養のない田舎者に対するスコットランド由来の蔑称)と呼ばれ始めている。なお1923年に広義のカントリー音楽最初のヒットレコードと言われるフィドリン・ジョン・カーソンの音楽には初めて「オールドタイム」ミュージックという呼び方で宣伝しており、これがフィドルを中心にしたブルーグラス以前のストリングバンド音楽に現在も使われる「オールドタイム」のはじまりとされる。
そののちミュージシャンやレコード店などから「ヒルビリー」という呼称のステレオタイプな悪いイメージを払しょくするために1944年にビルボード誌がヒルビリーを「フォークソング&ブルース」に変更(なお1949年にはビルボード誌は黒人の「レース」音楽を「リズム&ブルース」と呼ぶようになっている)、さらに1949年には「カントリー」または「カントリー&ウエスタン」に変更している。近年、1980年代以降では中西部や西部発祥のウエスタン・スウィングやカウボーイソングなどをサブジャンルとして「ウエスタン」として認知するようになり、シンプルに「カントリー」という呼称が一般的になっている。ちなみに日本で戦後使われた「ウエスタン」は、折からの西部劇ブームなどとあいまった日本独自の和製ジャンル名である。
カントリーという音楽ジャンルは現在、テイラー・スウィフトからカーターファミリーまで、極めて広範な音楽を包括しており、第一義的には言葉の意味通り「カントリー(田舎、クニ、イナカ)」という語感を持ち、ブルーグラスやロカビリー、オールドタイムやフォークなども広義に「カントリー」という大きな音楽分野のサブジャンルと解釈されている。ただ、歴史を重ねた商業過程のある英米とは違い、日本のように未開拓なメインストリームマーケットにおいては、その呼称の使い方に注意しないと……着たくないラメ入り服や被りたくないハットを強要される場合がある.....hahaha!?